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マリリン・アーノルド
全米でも有数な大学院で学術的な仕事につくための教育を受けた私が,不信者ではなく信者になったというのはどういうことなのでしょうか。学問に携わる人々の中には,学者というものは宗教的には懐疑論者であると考える人やそう皮肉る人もいます。しかしながら,末日聖徒イエス・キリスト教会においては一風変わった現象が見られます。末日聖徒の中では,より高い教育を受けていればいるほど,その人は教会に活発であり献身的であるというのです。
数年前,ある国際文学ゼミに出席したときのこと,数人の同僚と夜遅くまで話をしていて,宗教のことが話題にのぼりました。大きなロッジのベランダに腰掛けて,夜空をながめながら,コオロギの鳴き声を聞いて,おしゃべりを楽しんでいました。そのときグループの中の一人の女性が私に向かって尋ねました,「あなたはモルモンよね。」そこで私は「そうよ,私は信者よ」と答えました。私のあからさまな,ためらいのない答えに驚いた様子で,とても強い印象を受けたと述べました。「大抵の人はあなたのように率直に正直には言わないから。特に学者はね。」そこで私は教会ではこれが普通で,高度な教育を受けた私でも,信じていると伝えました。
今度は別の人が尋ねました,たくさんの「規律」があるというのに,教会はどうして急成長を遂げているのかと言うのです。私は笑いながら答えました,むしろ数多くの規律があるゆえに成長しているのではと。活発な末日聖徒であることは容易なことではないけれどと付け加え,「犠牲を払わなければ得られない物事はむしろ大事にしませんか」と問いかけました。「週に一度とか,たまに教会へ行ってただ座って話を聞くだけよりも,もっと求められるものがあるほうに意義を感じるものではないですか。組織や大儀,または人に自分自身や資産をつぎ込めばつぎ込むほど,それは自分の一部となって貴重な存在になっていくと思います。親なら誰でもそれがよくわかっているはずです。」
ベランダで話しをした翌日,私の言ったことに感動したらしい女性が,再び私に話しかけてきました。「あなたが自分は信者だとはっきり言ったことが,どうしても理解できないのよ,しかも学術会議でよ。」そして一瞬ためらってから,さらに続けました。「あなたがああ言ってくれてよかったと思う。いろいろ考えさせられるから。」私が詳しく説明しなかったこと,それでも恐らく彼女は理解してくれたことは,自分は「信者」だと言ったことの意味なのです。
私はこう言うべきだったのかもしれません。私は三人の別々のお方,つまり御父と御子,そして聖霊からなる神会を信じています。そして死すべき体をもつ私たちが肉体の死と霊の死から贖われるのは,イエス・キリストを通してのみであること。さらに,キリストはジョセフ・スミスという敬虔な若い預言者を通してその完全な救いの福音を,聖なる神権と儀式と共に回復されたこと。天父は今日でも生ける預言者によって御心を知らしめることを信じていますと。外部の人々は教会員の人となりよりは,むしろしてはいけないと言われていることに関心を向けています。すべての信者がすべてのことに忠実であると言ったら,考えがあまいと言われるでしょう。でも,私たちはみな努力しているのだということは言えます。そして多くの人は悔改めの原則があることを日々,主に感謝しているのです。
私はさらに,聖書だけが神の御言葉ではないと信じています。モルモン書は莫大な数の書物の中でイエス・キリストについての最も力強い証人であり,聖書のもう一つの価値ある証であると信じています。これまで読んだ何千冊という本の中で,モルモン書ほど心に深く感銘を受けた書物はありません。手にした書物の中で最高のものであることは疑う余地もなく,何度読んでもあきることはありません。読むたびに高められ,霊感を受けます。詩と真理との完璧と言ってよい融和は,全く比類なきものだと思います。この書物を親しく読むことができるのは,私にとって最も重要で価値あることであり,それは私を永遠に変えてくれました。ある日私はモルモン書を最初から最後まで殆どぶっ続けで真剣に,そして複雑で優れた文学作品を読むときと同じ熱意をもって読もうと決意しました。
そうすると,御霊がモルモン書を研究している私の中に,私の生活の中にしっかりと入り込み,この経験を通して霊的に高められ,理解を得ることができました。そしてそれは今も私の中にとどまっています。私は心からこの書物を愛し,驚嘆と感謝の気持ちをもってこれを読み,研究し続けることでしょう。つまり私は改宗したのです。霊的な生まれ変わりという貴重な経験をし,今に至るまで言葉では言い尽くせない方法で私の人生を豊かにしてくれています。
モルモン書は,その一語一句が真実だと心の底から証します。もしこの記録が真実ではなかったなら,主はこれを保存されなかっただろうし,主が選ばれた者にこの書を渡し,主の教会を地上に回復するために末日にもたらすこともなさらなかっただろうと証します。末日聖徒イエス・キリスト教会とモルモン書を切り離して考えることはできないのです。
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マリリン・アーノルドはブリガム・ヤング大学の英語学名誉教授。米文学で博士号を取得,ウィラ・キャサーの著作の研究で知られ,その研究を認められて多くの賞を受賞。大学院学部長およびダリン・H・オークス元学長のアシスタントを務めた。定年退職した今は,他の活動に加えて霊的なルーツやユタ州南部の砂漠地帯を描いた小説を書くことに専念している。ハイキング,スキー,テニスなどのスポーツにも没頭し,今でも女性問題研究所を通してBYUと関係を保ち,ディキシー州立大学の理事会にも所属している。
Posted October 2011